時代が求める資質

2011.06.25

太っている人の魅力がかわいさなら、背が低い人の魅力は、軽快さだ。タップの名手として知られているフレッド・アステアは、男の服飾史で稀代の洒落者として認められている。彼もまた背が低かった。しかし、むしろそれを生かす着こなしを実践して、世間を羨ましがらせていた。彼の着こなしで注目すべき点は次の四つである。(1)スーツは決してオーバーサイズでなく、サイズを厳しく意識してジャストに着こなす(2)顔に合わせた、小さめであるがやや長い衿のシャツを着る(3)体に合った細いネクタイをして、(ネクタイが細いがゆえに)寂しさを感じさせぬよう胸ポケットにはチーフを飾る(4)足の小ささをことさら意識させないよう、足元は皆とは違うスエード靴をはくこれらの彼の軽快な装いは今でも語り継がれている。現在では、軽快に見える、というのは、それだけ過去一〇年から二〇年の間のように物事の価値観がダイナミックに変動している時代にあっては、少しでももたついて見られたり、だらしなく見られたりするのは、大人として決定的に不利だ。その点、軽快感を演出しやすい小柄な人は、着こなし次第でその魅力を存分に発揮できると思う。「私は背が低いだけじゃなくて、太ってもいるがどうしたらいいのだ!」という人もいるはずである。この場合、そのどちらを選択すべきかというと、太っている人の着こなしを優先して、大柄の服だけは避けてもらえれば、「ぬいぐるみ系」の装いでうまくまとまると思う。

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