子供が遊んでいるそばには母親が立っているわけですが、試験官がそばによって、教育やしつけに関する質問をするわけです。改まったかたちではなく、そういう場で母親の声を聞いてみようとするのです。私のところにも試験官が回って来て、質問しました。「ふだんお子さんと、どのように接していらっしゃいますか」もちろん、さまざまなことを具体的に話さなくてはいけません。しかし、何も知らなかった私は平気で答えました。「子供と遊ぶのは好きではないんです」あきれた試験官が重ねてききます。「では、お子さんの性格を言ってください」「短気で頑固です」「それをお母様は日常の中でどのように直していこうとなさっていますか」と試験官がききました。だめ押しで私は、「私、短気で頑固な男が好きなんですよね」と答えたのです。もちろん息子は試験に落ちました。「敵を知り己を知らば百戦あやうからず」と孫子は言っておりますが、敵を知らず己も知らなかったのが、息子の受験までの私でした。その経験を踏まえて私は言うのです。落ちるのは親のせいだ、と。この不毛な世の中で、変わらず脈々と受け継がれていく伝統の力があるんだな、と「お受験」を調べれば調べるほど、私立の建学の精神に動かされました。また、国立幼稚園や小学校にひかれる気持ちがなくなっていきました。
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